episode 16
設定説明・・・馨が惑星マリアを脱出し、ステーシャと再会した後
語句説明・・・ＧＡＺＡとは惑星マリアの傭兵隊基地のあった土地の別称
自分の掌のように覚えたはずのＧＡＺＡの山並みが気分を変えたらしかった。尾部がすべり、Weaverはまったく無防備な腹部をムスリムに晒してしまう。
間に合わない・・・！
３０ミリの火の雨が横殴りに迫る。
i脱出レバーをまさぐった手が不意に暖かなものを握り締め、馨はいきなり夢から覚めた。
「スゥ・・・」
常夜灯の橙の光に洗われたステーシャが上半身を起こして、馨を見下ろしていた。
「ごめん、起こしたのかな、」“昔”の夢にうなされて・・・忘れられないものだな。
しかし言葉は途中で途切れる。馨の言い淀んだ言葉に肯うようにステーシャは浅く頷いた。
「“昔”の夢にうなされて目が覚めたのよ」瞬きをすると溢れかかっていた涙が一筋、ステーシャの頬を伝った。「軍にあなたのことを問い合わせてくれた民部官が言いにくそうに口ごもる夢、あれがあなたの機だと指差された飛行機が次の瞬間炎に包まれる夢、暗い鏡の中に影の無いあなたが私を呼ぶ夢・・・。今、あなたはこんなに近くにいるのに・・・！」
「スゥ・・・っ」d
張り倒されたような痛み。額の冷や汗をもどかしく拭う。
「哀しい・・・あなたを探すのに慣れてしまったから、こうしているとまた失ってしまいそうで・・・無くしている方が安心できるなんて、こんな・・・ひどい・・・」
舐めとってやる涙の辛さ、頬の冷たさ。馨は飲み込んだ自分の言葉が心中に沈んでいくのを感じた。ステーシャの言葉をこれ以上はない重さの重石として。
またeり倒されたような
